上野千鶴子

私はフェミニズムが男との平等を求める思想である以上に、自由を求める思想だと思っています。平等より、私は自由がほしかった。性的な身体の自由はとりわけ重要なものだと思っています。それを結婚によって手放すなんて、考えただけで恐ろしいくらいです。フェミニズムについての話をいろいろなところでするのですが、年齢層が高いと、この「性的身体の自由」については、スルーして誰も反応してくれません。アキレス腱なんでしょうか。それとももう賞味期限切れと思っているのか。 恋愛はエゴイズムの闘いですよね。独占欲をあからさまに示すのは、人間らしいエゴイズムかもしれません。男はそれを無邪気に見せますね。男が不倫をするのは無邪気なエゴイストだからだといつも思います。女がそれを上回る無邪気なエゴイストになれば、男が黙って我慢してくれる関係になるかもしれません。 「だって悔しいのよ」「我慢できない」。そうやって叫んでもいいんじゃないですか。少なくとも我慢し続けるよりずっとましだと思います。